「塩竃神社」芭蕉が神代を回顧した歴史ある神社
松島から少し離れた塩釜市に建立している歴史ある神社が、この【塩竃神社】。
由来は名前の通りで、塩の名産地であったこの地域ならではの神様が祭られています。
芭蕉は松島訪問前にこの場所を参拝しており、その際に
翌朝早く塩釜の明神を詣でた。この神社は藩主が再建なさって、宮柱が太く、彩りをつけた垂木は輝いている。石の階段は長く、差し込む朝日が玉垣をきらきら輝かしている。
このような、道の果てのような辺境の地まで神の霊験があらたかでいらっしゃることこそ、わが国の古来からの風習なのだと、大層尊く思われる。
出典:同上
という感想を残しています。
我々からすれば芭蕉も「古来の偉人」になるわけですが、彼にとっても当然「古来」があったのだと考えると、歴史の流れを感じられて面白いですね。
松島とは一風変わって現代でも非常に落ち着いた観光地なので、個人的にはけっこう気に入っていたりします。
「仙台城(青葉城)」亀岡八幡宮参拝のために訪れた
続いてはご紹介するのは、言わずと知れた仙台のシンボル【仙台城(青葉城)】。
この城は仙台へ領地を移した伊達政宗が、軍事拠点として、商業の中心地として、伊達家の威光を示すシンボルとして、莫大な費用と人員を投じて建築しました。
ただ、芭蕉たちが訪れた理由は観光目的ではなく、当時伊達家の守護神として信仰されていた亀岡八幡宮を参拝する目的であったようです。
亀岡八幡宮の参拝ルートは仙台城からスタートしていたため、彼らもこれに従ったのでしょう。
この神社は今でこそやや寂れてしまっているというのが実情ですが、上記の言い伝えから当時の隆盛ぶりがしのばれますね。
「立石寺」芭蕉が静寂に感銘を受けた古刹
最後にご紹介するのは、山形県に位置する古刹【立石寺】。
場所としては山形県になってしまいますが、かなり宮城寄りの場所にあるため仙台旅行と合わせて訪問するのもGOOD。
また、少し離れてでも訪問しておきたい理由としては、芭蕉がこの地で有名な句を詠んでいることが挙げられます。
「閑さや 岩にしみ入る 蝉の声」
というこの句は、たとえ本作を読んでいなくても耳にした経験のある方も多いのではないでしょうか。
もちろんただ句が素晴らしいだけでなく、芭蕉自身が
「山上の堂に登る。岩に巌を重ねて、それが山となって、松や柏は樹齢を重ねて、土石も年齢を重ねて、古びて苔が滑らかに覆って、岩の上の建物は全て扉を閉じて、何も音が聞こえない。
崖の周りを回り、岩を這うようにして仏閣を拝み、素晴らしい情景は静かにひっそりとして心が澄み切っていくばかりに思われた。」
出典:同上
と記しているように、現代でも大規模な寺社構造と反比例するような静寂ぶりを存分に味わうことができます。
さらに、立石寺から徒歩10分程度の場所には【山寺芭蕉記念館】という文学館が設けられており、芭蕉直筆の文書や山寺(立石寺の別称)と芭蕉のかかわりを垣間見ることが可能です。
施設自体は少し小さめなのでこの場所だけを楽しみに訪れるのはおススメできませんが、立石寺観光のついでであればぜひとも足を運ぶべき。
まとめ
以上で、芭蕉の足跡をたどる旅を企画する際の重要ポイントや、実際に訪問した名所の簡単なレポートを行ってきました。
もちろん他にも宮城・山形県で芭蕉が訪問したスポットは数多く存在するので、気になる場所があればぜひご自身で足を運んでみてください。
また、いつか平泉にも訪問したいと強く考えているので、そちらについても行くことができれば今回のような形でまとめてみたいと思います。
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