「正史」と「演義」は何が違う?『三国志』のあらすじや感想、内容の簡単な解説!

三国志 アイキャッチ 中国古代文学
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正史三国志・三国志演義の感想(ネタバレ有)

諸葛亮諸葛亮(出典:Wikipedia)

ここからは、『三国志』という作品に関する私的な感想をまとめていきます。

なお、歴史上の出来事をまとめた作品ではありますが、一応ネタバレにはご注意ください。

多種多様な人物が出現し、誰かしらに魅力を感じることができる

この『三国志』という作品最大の特徴は、非常に多くの魅力的な登場人物が現れるため、恐らく誰かしらを応援しつつ楽しむことができる点でしょう。

有名どころでは関羽や劉備、張飛といった「桃園の義兄弟」や諸葛亮など、蜀の人物が注目されることも多いでしょうか。

ちなみに、私個人としては戦の達人として名高い魏の「張遼」あたりがお気に入りですね。なんせ馬鹿強いので。

もちろん、人物だけでなく合戦や用語のレベルに至るまで、「男子のロマン」をくすぐる要素がこれでもかというほど盛り込まれています。

特に、赤兎馬の所有者として名高い三国時代最強候補筆頭の呂布などは、誰もが一度は憧れる武将といえます。

当然ながら日本でもトップクラスに知名度の高い時代を扱っていますので、歴史に詳しくない方でも「あ、この人ソシャゲで見たことある!」と認知することができるほどです。

皆さんも、ぜひお気に入りの人物を見つけて作品を見てみてほしいところですね。

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司馬氏の台頭以降急速にスケール感が失われる

三国時代を「物語」として考えると、序盤から中盤の出来に対して終盤はとにかく尻すぼみになってしまいます。

我々がよく知る人物らが活躍するのはせいぜい中盤までで、終盤は魏の司馬氏が台頭するとともにその人物らが次々と滅ぼされていくことになるのです。

最後までねばり強く抵抗するのは蜀ですが、劉備の跡を継いだ劉禅が「無能」であるがゆえに滅び去ったと伝わり、呉は蜀よりも長続きするものの大した抵抗は出来ず魏の力に成すすべはありませんでした。

ちなみに、上記で示した「劉禅無能説」に関しては近年見直されつつあり、「功も罪も半々くらい」という評が目立つようになってきましたね。

もっとも、ひたすら魏の勢力に押されていく図式は物語的な見どころに乏しく、三国志ファンの間でも終盤の展開についてはあまり人気がありません。

『演義』も物語である一方で史実をベースにした作品ですから、そもそもの歴史がつまらなければ打つ手ナシ、といったところでしょうか。

最後は魏も滅び、建国された晋も速攻で滅びるという後味の悪さ

上記で、終盤はやや物語的な展開が今一つになるということには触れてきました。

その流れは残念ながら最後まで留まるところを知らず、呉が滅亡しさらにはついでに魏も滅び去ってポッと出の晋が三国を統一するという後味の悪い結末になってしまいます。

しかし、本当に後味が悪いのは『三国志』の中では描き切られなかった「晋の時代」に他ならないというのもまた事実なのです。

晋の登場によってようやく統一された三国はなんとわずか30年足らずで崩壊してしまい、ふたたび戦乱の世へと逆戻りしてしまうのです。

この事実を知った私は、「統一を目指して戦っていた熱い物語、全然未来に繋がってないじゃん…」と心底ガッカリした思い出があります。

また、上記の事実から中国史の流れをふまえても彼らの戦いは歴史的な価値が低く、ひどい言い方をしてしまえば「ただ無意味な戦いが繰り広げられていた」と冷たく言い放ってしまうことも不可能ではありません。

もちろん歴史的に全く意味のない時代だったとまでは言えませんが、少なくとも我々が感じているような「三国時代=中国で最も面白い時代」というほどの評価はなされないということです。

そう考えると、三国時代と同じように歴史好きからの人気が高い日本の戦国時代は、物語としても実によくできています。

一見分かりづらくもよく事実を追っていくと面白い応仁の乱や享徳の乱・明応の政変から始まるとされる戦国時代は、終盤にかけて面白くなっていくからです。

一応歴史区分としては終盤こそ安土桃山時代と定義されるものの、関ケ原の戦いや大坂の陣など「いかにもクライマックス」というようなイベントが用意されているのは素晴らしいの一言。

加えて勝者の徳川家康が築き上げた江戸幕府は270年もの間存続していき、さらにその幕府を打ち倒したのは戦国の「敗者」である島津・毛利らの系譜なのですから、ドラマとして完成されているとしか言いようがありません。

まさに、「事実は小説よりも奇なり」ですね。

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まとめ

ここまで、『三国志』に関するいくつかの解説や感想を書き残してみました。

ちょうど「三国志展」が開催中ということもあってこの記事を立項したので、私もトーハクに行ってみたいと思います。

逆に展示を見て興味を持った、という方がいらっしゃいましたら、ぜひとも『吉川三国志』あたりにチャレンジしていただきたいものです。

昭和初期の文学ということで多少の読みづらさは否めませんが、今読んでもなお素晴らしい世界観が楽しめますよ!

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