魯迅の描く短編「狂人日記」「阿Q正伝」「故郷」のあらすじや感想、解説

魯迅短編集 アイキャッチ中国近現代文学
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大戦前における中国屈指の「知日派」として知られていた魯迅。

今回は、彼が描いた小説『魯迅短編集』のあらすじ・感想を書いていきます。

なお、収録短編数がかなり多かったので、有名どころである「狂人日記」「阿Q正伝」「故郷」に絞って紹介していきます。

念のため、ネタバレ注意です(それほど重大なトリックはありませんが)。

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狂人日記の簡単な作品情報・あらすじ・解説・感想

狂人日記の作品情報

まず、本作に関する基本的な作品情報を整理しておきます。

作者魯迅
執筆年1918年
執筆国中国
言語中国語
ジャンル短編小説
読解難度やや読みにくい
電子書籍化
青空文庫
Kindle Unlimited読み放題
本作は、今日中国の代表的な作家と目されている魯迅が38歳のころに描いた処女作です。
初めて西洋的な手法・価値観に基づいて執筆された「作家・魯迅」の登場をもって、中国近代文学が産声を挙げたともいわれるので、本作は歴史的な作品といえるでしょう。

また、本作は電子化が進んでおり、

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狂人日記の簡単なあらすじ

「わたし」は、ある友人が大病を患ったと耳にし、故郷へ帰るついでに彼の元を訪れた。

そこで「わたし」は病気をしてしまった友人の弟に出会う。

彼曰く「本人はもう全快して地方に赴任していきました」ということだったが、同時に笑いながら二冊の日記帳を手渡された。

描かれていた内容は支離滅裂であり、病状が精神に関するものであることは一目瞭然。

執筆をした男は、「他人が自分を食べようとしている」という恐怖に憑りつかれていた…。

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狂人日記の解説・感想

この小説は、一言でいってしまえば主人公の「私」が、周囲の人々を人食いであると思い込み、それを恐れて狂っていくという内容です。

実際には、周囲の人が人食いをするシーンはなく、「私」は「狂人」であると周囲には考えられていました。

と、書いてきましたが、一見すると内容はこれだけしか読み取れません

初見の際、私が「えっ、これで終わり?」と思ったのも無理がないと思います。

もちろん文章が下手だというつもりはないのですが、文体に特別人を惹きつけるほどの力までは感じられなかったため、どうして『狂人日記』がこれほど読み継がれてきたのか、不思議でなりませんでした。

そこで作品の解説などを読んだところ、清朝末期~中華民国の時代になっても旧来の儒教を絶対とする社会システムを嫌悪した魯迅が、それを「食人」という形で比喩した作品なのだということでした。

確かに魯迅が中国旧来の社会を嫌悪していたことは有名なので、これでも十分に筋が通ります。

しかし、一説ではこの「食人」というのは単なる一種の隠喩ではなく、もっと直接的な「中国の食人文化に対する嫌悪感」であったとも言われているのです。

当時、絶対的といっても過言ではなかった儒教的価値観のもとにおいては、自身の「肉」を食べさせることで、病気を治すといったニュースが好意的に報道されていました。

これは、魯迅にとってにわかに信じがたい光景であったことでしょう。

日本に留学し、西洋的な医療を学ぶ機会を得ていたインテリの魯迅にとっては、まさしく「狂気」をはらんでいるようにさえ感じたと思います。

そこで、絶対的であった儒教的価値観を批判的に描くことを決意したのでしょう。そういった意味では、中国文学として重要な作品であるという位置づけは正しいものです。

ただ、個人的には歴史的に意義のある小説と、現代でも読みごたえのある小説というのは、性質が違うものであると考えています。

つまり、現代での『狂人日記』に娯楽小説としての価値があるのか、というのは微妙な問題ですね…。

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阿Q正伝の作品情報・あらすじ・解説・感想

阿Q正伝の作品情報

まず、本作に関する基本的な作品情報を整理しておきます。

作者魯迅
執筆年1921年
執筆国中国
言語中国語
ジャンル短編小説
読解難度やや読みにくい
電子書籍化
青空文庫
Kindle Unlimited読み放題

本作も電子化が進んでおり、

のすべてで作品を楽しむことができます。

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阿Q正伝の簡単なあらすじ

中国の清が崩壊しつつあった、激動の時代。

田舎の農村には、名前すらも定かではない日雇いの男・阿Qが暮らしていた。

彼のスペックは村の中でも最底辺といえるものであり、金もなければ学もなく、容姿にも恵まれていない。

村人は彼をあざ笑うが、彼は「精神的勝利法」と名付けた理論をもとに、たとえ自身が敗れても内心で都合よく勝利とすることで過ごしていた。

しかし、阿Qは村の富裕層に属した女性に言い寄ったことで村八分とされてしまい、彼が生きる唯一の術であった仕事を失ってしまう…。

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阿Q正伝の解説・感想

この小説は、阿Qという人物の生涯を記した、文字通りの「正伝」です。

小さな村に生きる、阿Qという社会の最底辺に属している人物を主人公として、無知蒙味にもかかわらず根拠のない自信をもちあわせたその姿を批判的に描き出しているのが特徴。

これに関しては、読んでいてすぐに何を批判的に描いているのかがピンときました。阿Qの姿は、そのままに無知で自尊心の強い、魯迅の思い描いた当時の中国国民の姿なのでしょう。

特に印象的な場面は、魯迅が意味もわかっていないのに革命に乗じて、無実の罪で処刑される一連の流れでしょう。その様子は滑稽でもあり、同時に悲しみを感じるものでもありました。

ただ、現代でもこういう人って決して少なくないと思います。処刑されるかどうかは別として、とりあえず勢いのある権威に乗じて深く考えずにそれを利用する。

とはいえ、当然その目的や意義は全く理解していないので、権力の中枢にいる人間には相手にされることもありません。

このように、非常に普遍的なテーマが描かれており、読みごたえのある作品だと感じました。

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