『ソクラテスの弁明』のあらすじや感想、内容を簡単に解説!「無知の知」とは何なのか?

諸地域の古代文学
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哲学と聞いて「む、ムズカシそう…」と思ってしまう人は少なくないでしょう。

「哲学」に興味があっても、「古代ギリシャ」や「ソクラテス」というようないかにも堅そうな言葉を前にすると、つい尻込みしてしまいます。

そんな方には、今回解説する『ソクラテスの弁明』をぜひ読んでほしいです。

実はこの本、読みやすく、それでいて哲学のエッセンスがしっかりと詰まっている、とてもオイシイ一冊。

哲学に関心のある人もない人も「騙された」と思って、まずはこの解説をぜひ読んで下さい!

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『ソクラテスの弁明』の作品情報(電子化・読み放題対応状況)

作者プラトン
執筆年紀元前4世紀ころ
執筆国古代ギリシャ
言語ギリシャ語
ジャンル哲学
読解難度読みやすい
電子書籍化
青空文庫×
Kindle Unlimited読み放題

舞台はイエス・キリストの生まれる300年以上も前で、日本で言うと弥生時代の終わり頃。

旧約聖書や中国の論語と並んで、世界最古の書物と言っていいでしょう!

また、岩波文庫版では約50ページと短く、全編を通じてソクラテスの語りであるため、とても読みやすい作品です。

ただし、本作の作者はソクラテス本人ではなくプラトン。

プラトン 彫刻
プラトン(出典:Wikipedia)

彼自身は本を記さなかったため、弟子であるプラトンが裁判の記録を通じてソクラテスの思想を書き残したのです。

また、本作は電子書籍として読むことも可能で、その際はAmazon発売のリーダー「Kindle」の使用をオススメします。

加えて、Amazonが提供する読み放題サービス「Kindle Unlimited」にも対応しています。

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『ソクラテスの弁明』の簡単なあらすじ

「アテナイ人、諸君!」

罪を犯したとして告発されたソクラテスが、冒頭、自らを裁く大勢の市民たちに堂々と訴えかけます。自分が無実であること、告発が誤りであることを、そして自らが生涯を通じて正しい行いを貫いてきたことを。

そして、訴えを通じて、人間は「ただ生きるのではなくよく生きるべき」である、という考えを人々に伝えます。

この裁判は、死刑も十分に予測できるものでした。自らが殺されるかもしれないという過酷な状況の中、全く動じることなく、信念を貫く。

ソクラテスはどのような弁明をするのでしょうか。そして、その思いは人々に伝わるのでしょうか。裁判の結果はいかに?

こんな人に読んでほしい

・強い信念を持ちたい

・ホントウに正しいことは何なのか知りたい

・いままで哲学書を読んだことがない

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『ソクラテスの弁明』の思想・時代背景の解説や感想!(ネタバレあり)

本作は読みやすい一方、古代ギリシャという我々にとってなじみの薄い時代を舞台にした作品です。

そのため、時代背景や思想面を中心に、作品を簡単に読めるよう解説していきます!

古代ギリシャでは「ポリス」と呼ばれる都市国家が共存していた

大哲学者プラトンによって書かれたこの作品は紀元前の古代ギリシャが舞台です。令和の日本に生きる私たち一般人からすると、全くなじみがないかもしれません。

あまりに環境が違いすぎるので、少し解説が必要です。ただ、あまり深掘りするとややこしくなってしまうので、作品を楽しめる範囲でザックリと進めます。

舞台はエーゲ海に面した国・ギリシャ。澄み渡る空や海の青、力強く生い茂るオリーブの緑、燦々と輝く太陽、豊かな自然に温暖な気候で、さながら地上の楽園のような場所です。

さらに、紀元前4世紀当時のギリシャは豊かな自然の恵みを受け、裕福に暮らすことができていました。

当時のギリシャには「アテナイ」や厳しい教育方針を指すスパルタ教育で有名な「スパルタ」といった小さな「ポリス(都市国家)」がたくさん成立していました。

今で言うと東京や大阪がそれぞれ独立して「国家」を名乗っていたような感じです。

それぞれのポリスには「アゴラ」と呼ばれる公共広場や神殿が必ずあり、極めて重要な役割を果たしていました。

アゴラ 遺構
アゴラの遺構(出典:Wikipedia)

ちなみにアテナイというのは現在のギリシャ共和国の首都「アテネ」の昔の呼び方です。日本で言えば、「東京と江戸」みたいな感じですね。

経済力があり、文化や芸術も華やいで、当時最有力なポリスでした。

古代ギリシャでは、このような個性的なポリスがたくさん成立し、同盟を結んだり、時には戦争したりしながら、それなりに共存していました。

アテナイに現れた弁論を生かす職業「ソフィスト」

古代とは思えない割とのんびりした雰囲気の古代ギリシャ。その中でも、特にアテナイで少し変わった職業の人たちが出てきました。「ソフィスト」と呼ばれる人たちです。

この「ソフィスト」という人たち、当時のアテナイではかなり流行っていたようです。どんな人たちなのでしょうか?

当時のアテナイは「奴隷制」でした。今から思えば、かなり残念な制度ですね。しかし、奴隷制のおかげで、多くの市民たちは「自由にのびのびと」生活ができました。さらには、政治に口出しする機会も増え、地球上で初の「民主制」が成立し、発展していったのです。

人々が政治に絡んでくると、今度は「議論に勝って、他人を説得する」ということが重要になってきます。そんな中で登場してきたのが「ソフィスト」と呼ばれる人たちでした。

当時は、「徳や正義、美しさとは何か」といった、モノゴトの本質と言える難しいテーマが盛んに論じられていました。こうしたテーマに、きちんと答えられる人物こそが、人々から尊敬を集めるようになります。

そして、「よし、オレが引っ張ってやるからついてこい!」といった野心家は言葉巧みに人々を説得し、高い地位を目指しました。

特に裕福だったり、良い家柄だったりする人々は、政治に関わることも多いため、より発言力を高めるために、説得術を学ぼうとするわけです。

ソフィストはそういった人々に、弁論術を教えました。今風に言うなら、政治家になるための専属家庭教師、議論に勝つための「おしゃべりコンサルタント」といった役割でしょうか。

こうしたソフィストはアテナイでは人気の職業で、有名なソフィストは引く手あまた、売れっ子としてかなりの報酬をもらっていたようです。

しかし、花形ビジネスマンとして扱われたソフィストたちですが、実は多くの批判もありました。

それは、ソフィストの教える弁論術が、どうもウサンクサイものだったためと考えられます。

人を説得する弁論術も、正しく使えば人々を良い方向へと導きますが、お金のために「ホントウの正しさはさておき、議論に勝つ方法」だけを考えていたこともありました。

白を黒だと言いくるめたり、中には借金を踏み倒すために弁論術を利用したこともあったようです。

今でも、悪徳弁護士が詭弁を弄(ろう)してお金持ちの極悪犯罪者を無罪にする、なんてことがあるようですが、こんなことがまかり通るなら、人々は怒ります。古代アテナイでもきっと似たようなことがたくさんあったに違いありません。

おそらく真面目なソフィストも居たでしょうが、一部の金儲け主義ソフィストのせいで、多くの批判を受けました。そうする中で、口先だけ良い事を言うのではなく「ホントウの正しさとは何か」を語る人が求められました。これが哲学者と呼ばれる人たちです。

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ソフィストと哲学者の違いは「本質を大切にするか」

ソクラテスは哲学の父と呼ばれています。哲学を生み出したとされる偉い人ですね。

ソクラテス 写真
ソクラテス(出典:Wikipedia)

紛れもない哲学者と言えそうです。しかし、ソフィストと哲学者はどう違うのでしょう。

ちなみに、哲学というのはフィロソフィアという言葉の日本語訳です。フィロソフィアとは元々ギリシャ語のフィロス(愛する)とソフィア(知恵)という言葉を合体したもので、「知を愛する」という意味になります。

ソフィストもフィロソフィアも知恵という意味が入っており、なんとなく似ていますね。

さて、ソフィストも哲学者も「知恵」に関するということは同じですが、知恵に対する態度が全く違いました。ここがポイント!

ソフィストは議論に勝って相手を説得する、ということを目的にしました。

そのため、昨日は黒だと言ったものを、今日は白という風に、言うことがコロコロ変わります。相手を打ち負かすことができれば、出世にはつながりますが、「ホントウはどうなの?」という疑問には答えてくれません。

一方、哲学者は「ホントウのこと」を大事にします。

この点でソフィストと哲学者は大きく異なり、現代でも語り継がれているのはソクラテスをはじめとする哲学者たちの事績です。

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