古典文学初心者が、読みやすい「光文社古典新訳文庫」シリーズを読むべき5つの理由

古典入門
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皆さんがご存知かは分かりませんが、著名な古典文学(特に海外の作品)については、多数の出版社から書籍が出版されています。

その様子については以前の記事でも語ってきましたが、海外文学の場合「翻訳」という作業が必要になってくるので、同じ作品でも出版社によって読んでみた印象が大きく変わることもあるのです。

さらに、有名どころの作品は書籍の数も多く「どれを読んだらいいのか…」と悩んだ経験のある方もいらっしゃるでしょう。

そんな時、私は光文社という出版社が発行している「光文社古典新訳文庫」というシリーズをオススメしています。

以下では、同シリーズの概要や古典初心者にオススメの理由を解説していきますね。

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光文社古典新訳文庫シリーズの概要

まず、オススメの点を語る前に同シリーズの概要を整理しておきます。

そもそもの成り立ちは「新訳」と銘打っているだけに非常に新しく、2006年に創設されました。

立ち上げの動機についてはシリーズの創刊を担当し、以後10年にわたって編集長を務めた駒井稔氏が以下のように語っています。

彼らが称賛してやまないドストエフスキーの長編やフランスの19世紀文学の話をしていても本当に理解しているのかどうか、いささか疑問に思ったのも確かです。直訳調の難解な翻訳で海外の古典を読むことが、もてはやされた時代でした。

(中略)

この流れを受け止めて、きちんと内容を理解できる翻訳という試みを外国文学者、哲学者、編集者たちが始めたのです。また、翻訳のレベルが、資料や辞書の充実、ネットの発達に伴い飛躍的に上昇したことも、この機運が高まったことの背景にあるでしょう。

(中略)

新訳を試みるとき、本を読むのが好きな普通の読者に理解できる訳文でなければと考えていました。これは私が16年間席を置いた『週刊宝石』という週刊誌編集部で徹底的に訓練を受けた結果です。記事の中ではわかりにくい事柄をできるかぎり平易に表現するよう要求されます。

無用な難解さを排して、読者の立場に立った記事を書くことを日常の中で実践していたので、それが書籍編集部に異動してからも私の編集者としての基本的な姿勢となりました。

出典:東洋経済オンライン「発行485万部の「古典の新訳」大ヒットの裏側 時代に合った選書と新訳で「現代作品」に」

上記でも触れられているように「普通の若者でも読める易しい翻訳」を掲げたシリーズは、最初に8冊の文庫本を出版した所からスタートしていきます。

編集長の目指した方針は現代を生きる人々の心に響き、同シリーズで出版されたドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』が100万部を超える大ベストセラーになるなど、従来では考えられなかった「古典の大衆化」が進んでいく大きな原因となりました。

こうして広くシリーズが受け入れられていった結果、創設から13年で200冊以上の新訳本が出版され、現在進行形で多数の新訳が試みられています。

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光文社古典新訳文庫シリーズをオススメする5つの理由

ここまで整理してきたように、光文社古典新訳文庫シリーズには「読みやすさ」を追求した様々な工夫がなされています。

ただ、それだけでは具体的にどこが読みやすいか分からないと思うので、以下では詳しい取り組みを解説していきましょう。

なお、ここでいう「何と比べて読みやすいか」は、同じく世界の名著を訳している「岩波文庫シリーズ」との比較における結果です。

しかし、あらかじめ断っておかなければならないのは「光文社が正義!岩波はダメ!」という主張がしたいわけではないということ。

あくまで「古典初心者が読むなら」という文脈で論じた結果であり、現に光文社は後述するような「誤訳騒動」を引き起こしてしまっているという側面もあるからです。

文章が非常に平坦で分かりやすい

まず、大前提として「文章が非常に平坦でわかりやすい」というものがあります。

これは先で編集長が語っていたように、「普通の読書好きが無理なく読める」ということを意識した結果でしょう。

もちろん翻訳ですので、もともとの原文時点における読みやすさや翻訳者による傾向によっても分かりやすさは変わってきます。

ただ、全く同じ本を用意して両者を読み比べてみた場合、読みやすさでいえば明らかに古典新訳文庫シリーズが上回っている印象は否めません。

特に、岩波が50年代~60年代にかけて出版した翻訳本はただでさえ固い岩波の翻訳にさらに拍車をかけるような難解さを有する文章になってしまっており、古典初心者が手を出せば確実に挫折してしまいます。

そういった点で、この読みやすさは同シリーズの大きな武器といえるでしょう。

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脚注が巻末ではなくページごとに用意されている

次に指摘できるのが、「脚注が巻末ではなくページごとに用意されている」ということ。

古典文学には難しい単語や現代日本人の感覚では想像できない当時の固有名詞が多数存在し、それゆえに脚注が設けられるのは一般的です。

ただ、従来の訳書では、本文に註番号を振り、それを文末の「脚注一覧」の中から探し出して読まなければなりませんでした。

本によっては100を超えるような数の註がついているので番号を探し出すのも一苦労ですし、何よりいちいち文末ページを開かなければならないので読書のテンポが非常に悪くなってしまいます。

ところが、新訳文庫シリーズはそうした文末脚注方式ではなく、文庫の見開きごとにページの左側に註が用意されているのです。

これにより、いちいち文末に移動することなくサッと註を確認することができ、大変便利な配慮だと感じました。

本の解説・訳者あとがき・年譜などが非常に充実している

本の文末には必ずといっていいほど付けられている「本の解説・訳者あとがき・年譜など」の付属情報が充実しているというのも同シリーズの嬉しいポイントです。

これについては岩波にも付属しているのですが、その量を新訳文庫シリーズと比較してみると差は一目瞭然。

実際、基本的に岩波では「訳者本人の解説兼あとがき」しか付属していないのに対し、新訳文庫シリーズでは「解説者の解説+訳者のあとがき」となっている作品も多く、この解説部分をかなり重視していることが分かります。

さらに、その解説文の内容についても、シリーズのコンセプトである「読みやすく分かりやすい」という配慮が徹底されています。

個人的な印象ですが、岩波のそれはむしろ本文以上に訳者の解説が分かりづらく、「解説の解説が欲しい!」という気分になることも少なくありません。

一方で新訳文庫シリーズでそういう気分になったことはないので、量が増えて読みやすさも重視されていることになります。

古典文学は一読するだけでは分からないことも多いので、このサイトに執筆している記事解説の面で同シリーズの解説を参考にすることもしばしば。

もちろん文学サイトを運営しないという方でも参考知識として知っておくとためになるので、解説文は読むようにしてみてくださいね。

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