昨今、電子書籍はコミックを中心に広く普及し、すっかりお馴染みの存在となりました。
電子書籍リーダーの代表的な端末は、Amazonから発売されている「Kindle」でしょう。
コミックや雑誌を読むのにKindleを愛用する人は多い一方、まだ文学、特に「古典文学」好きの間では普及し切っていない印象があります。
しかし、「古典文学をKindleで読むこと」は、むしろ現代小説を読むよりずっとオススメできると、古典サイト管理人の私は思うのです。
そこで、実際にKindleを使って古典文学を読み、私が感じた「古典好きがKindle端末を買うべき5つの理由」を大公開!
この記事を読めば、あなたもきっとKindleが欲しくなるはずです。
古典好きがKindle端末を買うべき5つの理由
Kindle端末にはオススメのポイントが多いものの、ここでは「古典文学を読む」という一点に絞って便利な点を指摘していきます。
現代小説よりも古典文学好きに勧めたい理由が、きっと理解していただけるハズ。
青空文庫に収録された本を無料かつ快適に読める
個人的には、これが圧倒的かつ一番大きなメリット。
「Kindleストア」には青空文庫収録作がほとんど揃っており、もちろん無料で好きなだけ読むことができます。
日本近代文学はほぼ網羅しているので、一生かかっても読み切ることはできないでしょう。
とはいえ、ご存じのように青空文庫自体はスマホやタブレットでも無料で読めるので、当然Kindleだけの特徴ではありません。
しかし、Kindleがスマホやタブレットと異なる点は「液晶の質」。
Amazon独自開発の「E-Inkディスプレイ」は、本物の紙に近い質感で目の疲れを軽減してくれます。
さらに、最近のKindleにはフロントライトが搭載されており、夜でも灯りなしで読書を楽しめるのです。
「青空文庫を快適に読める」ということがどれほど素晴らしいかは、読書家ほど共感を得られるでしょう。
Kindle Unlimited対応作品は読み放題になる
Amazonが提供している読み放題サービス「Kindle Unlimited」の対象作品は、もちろんKindle端末でも読めます。
というより、むしろこのサービスを利用していてKindle端末を買わない手はないでしょう。
古典文学の作品はまだまだ対応数が少ないというのも現状ですが、無料体験やセール期間を上手に利用すると古典を読むうえでも有用。
詳細は、「Kindle Unlimitedのサービスで古典文学を読めるか」ということを検証した下記の記事でご確認ください。
長編がにわたる古典作品も、端末一つで楽しめる
古典文学の特徴として、一つの作品で文庫が何冊にも分かれている長編が多いのはよくご存じでしょう。
岩波文庫の作品で一例を挙げると、
など、とても一度に持ち歩ける量ではありません。
一冊ずつ持ち出して歩こうにも、本棚に置いておくと一作だけでかなりのスペースを占めてしまいます。
「文庫の揃った本棚を眺めるのもいい」という意見はもちろん理解できますが、私のように単身者向けの部屋に住んでいると、そうも言ってられません。
図書館で借りる・読んだら売るというのもアリですが、そうなると読み返したくなったときが非常に面倒。
古典の場合、話が分かりづらいことも多いので前の巻に立ち返ることもしばしばあります。
と考えれば、たった174グラムで数千冊を保存できるKindleの素晴らしさが理解できるでしょう。
脚注の数字をタップするだけで内容が確認できる本も
本を発行している出版社が対応しているかにもよりますが、文中に表示される「脚注の数字」をタップするだけで、内容を確認することもできます。
古典は現代で馴染みのない専門用語や固有名詞が多く、かなり大量の脚注がついていることも珍しくありません。
その場合にいちいち文末へ移動していると、読書のテンポを損ないます。
私も「脚注と本文を行ったり来たりするのが面倒だ…」と感じた経験は多いです。
Kindleで本文を読む流れのまま脚注に手を伸ばせるようになり、その内容を本文としっかり結びつけながら読めるようになりました。
単語を辞書やウィキペディアで検索できる
脚注で補足されていなかったとしても、「あれ、この単語ってどういう意味だっけ」となることは珍しくありません。
加えて、青空文庫の作品だとそもそも脚注のないものが大半なので、わからない言葉に直面したら自ら調べる必要があります。
紙の本で読んでいる場合、今だとスマホで単語検索をかける方が多いでしょうか。
しかし、その場合わざわざ本から手を放して調べなければなりませんし、漢字の場合「読み方」がわからないと調べるのが難しくなります。
その場合、Kindleで本を読む以前はスマホの「手書き検索」機能を用いていました。
一方、Kindleでは本文からそのままコピペで辞書ないしはウィキペディア検索にかけられるので、「面倒くさいし、意味わかんないままでいいや」と読み飛ばしていた不明点もしっかり調べられるようになりました。
電子書籍特有のデメリットもある
ここまでKindle端末の優れている点をご紹介してきましたが、残念ながらデメリットがないというわけではありません。
もっとも、それらは「Kindle端末特有のもの」というよりは「電子書籍特有のもの」であり、電子書籍を読むうえで避けて通れないデメリットでもあります。
電子書籍化に対応していない本もある
最近は古典文学でもかなり電子書籍化が進みつつありますが、中にはいまだに非対応の本もあります。
そもそも電子書籍になっていない本はいくら端末が優れていても読むことができないので、これは確かなデメリット。
一応、本を手に入れたうえでスキャンしてPDFのものを読むという方法もありますが、手間がかかりすぎるのでオススメはできません。
私の場合は、素直に諦めて紙の本を読むようにしています。
中古本や図書館で手に入れた本は読めない
上記のデメリットと似ていますが、本を安く手に入れる方法としてメジャーな「中古本や図書館の本」は、当然Kindleで読むことができません。
とくに、古典の場合は中古本や図書館に入っている本が多くなるので、現代文学以上に痛いかも…。
「買うほどでもないかな」「青空文庫収録作じゃないな」と思ったとき、私はKindle本ではなく素直に中古本や図書館の本を利用しますね。
電池持ちは良好だが、一応充電は必要
Kindle端末は、スマホやタブレットと比べて格段に充電の持ちがいいです。
あくまで体感ですが、数日程度であれば1日数時間読書しても充電の必要はないでしょう。
ただ、それでも紙の本を読むのに充電は必要ないので、デメリットといえばデメリット。
微弱ですが、電気代も発生しますしね。
とはいえ、現代人はスマホのおかげで充電には慣れているでしょうし、数々の便利機能を思えば大きなデメリットであるとは思えません。
とにかく「青空文庫リーダー」としての価値が高い
ここまで出てきた数々のメリット・デメリットを総合すると、
「とにかく『青空文庫リーダー』としての価値が高い」
ということがよく分かっていただけたのではないでしょうか。
「青空文庫専用リーダー」としてKindleを運用すれば、デメリットの大半は打ち消されますし。
実際、私も「青空文庫」と「読み放題作品」を中心に使っており、ごくたまに「出先でふと読みたくなる本」を購入しています。
最も安いモデルなら端末代も1万円を下回ってくるので、青空文庫をよく読む方にとっては間違いなくお値段以上の価値アリです。
また、しばしば「電子書籍派VS紙本派」で議論になりますが、私からすればこれは実にアホらしい言い争い。
「電子書籍で読むとお得な作品」と「紙の本で読むとお得な作品」があるわけで、どちらの媒体も使い分けるのが賢い読書家の生き方ではないでしょうか。
古典を中心に読むならKindleかPaperwhiteの端末がオススメ
Kindle端末と古典文学との相性を解説し切ったところで、最後に
「現行のKindleには複数モデルがあるけど、どれを買ったらいいの?」
という疑問にお答えしたいと思います。
現在売り出されているKindle端末は
の三種類。
スペックの違いは以下の通りです。
価格 | ¥8,980 から | ¥13,980 から | ¥29,980 から |
ディスプレイサイズ | 6インチ反射抑制スクリーン | 6インチ反射抑制スクリーン | 7インチ反射抑制スクリーン |
容量 | 4 GB | 8 GB / 32 GB | 8 GB / 32 GB |
解像度 | 167ppi | 300ppi | 300ppi |
フロントライト | LED 4個 | LED 5個 | LED 25個 |
数週間持続バッテリー | 〇 | 〇 | 〇 |
フラットベゼル | – | 〇 | 〇 |
防水機能 | – | 〇 | 〇 |
色調調節ライト | – | – | 〇 |
明るさ自動調整機能 | – | – | 〇 |
人間工学的デザイン | – | – | 〇 |
自動画面回転機能 | – | – | 〇 |
ページ送りボタン | – | – | 〇 |
接続 | Wi-Fi | Wi-FiまたはWi-Fi + 無料4G | Wi-FiまたはWi-Fi + 無料4G |
いろいろ専門用語が並んでいますが、今回注目すべきは「価格」のほかに「防水機能」「接続」の二点。
ここを比較していくと、「Paperwhite」以上のグレードには変化がないとわかります。
なぜこの二点を重視したかというと、「お風呂場でも読書したい」となれば「防水」は必要ですし、「外出先で単語を調べたい」となれば「無料4G」はかなり役立つから。
古典文学を読むうえでも、検討の価値があります。
逆に言えば、古典文学を読むうえで、「鮮明な画面」や「自動の画面回転機能」はあまり求められないでしょう。
そのため、最上位モデルの「Oasis」はオーバースペックだと思います。
ただ、「Kindle」と「Paperwhite」のどちらを買うべきかは、正直好み。
古典しか読まない上に、とにかく安くて最低限の機能が欲しければ「Kindle」、古典以外のコミックなども読む上に、外出先やお風呂場でも使いたければ「Paperwhite」という選び方が、個人的にはベストだと思います。
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