魯迅の描く短編「狂人日記」「阿Q正伝」「故郷」のあらすじや感想、解説

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故郷の簡単な作品情報・あらすじ・解説・感想

故郷の作品情報

まず、本作に関する基本的な作品情報を整理しておきます。

作者 魯迅
執筆年 1921年
執筆国 中国
言語 中国語
ジャンル 短編小説
読解難度 読みやすい
電子書籍化
青空文庫
Kindle Unlimited読み放題
本作は完全に魯迅の経験をもとにした自伝的小説であり、彼は幼少期に「私」と同様の没落を経験しています。
また、「年齢と立場の変化」を示した作品の内容は普遍的なもので、現在でも日本の教科書に高確率で掲載されています。
そのため、「授業で読んだことがある!」という方も少なくないでしょう。

なお、本作もやはり電子化が進んでおり、

のすべてで作品を楽しむことができます。

故郷の簡単なあらすじ

「私」は、かつての生家を引き払うべく、20年という歳月を経て故郷へと帰りました。

彼の中で思い描いていた美しい故郷はすっかりと様変わりしてしまい、土地だけでなく住民までも貧しく見えます。

それでも、幼少期に親しくしていた小作人の息子・閏土との再会に胸を膨らませずにはいられませんでした。

かつては対等な友人として野山を駆け回っていた二人。

しかし、彼に再会した「私」は、無情な時の流れを痛感させられることになるのです。

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故郷の解説・感想

この作品は、故郷の土地へと舞い戻った際、その変わりように感じた悲嘆を描いています。

主人公の思い出の中では美しかった故郷は、土地も人も貧しく変わり果てていました。

特に、少年時代の友人であった閏土と再会した際に、「ご主人様」と呼ばれるシーンは、その変化を象徴している印象的なものです。

つまり、主人公はある程度社会的に成功を収めていたので、故郷に住む人々とは「違う」立場の人間になってしまったのです。少なくとも、魯迅はそういった体験をしたことがあったのでしょう。

ただ、個人的にそもそも主人公の心の中での故郷は、少年時代のノスタルジーで過剰に美しい姿になっていたのではないかと思います。

自分の少年時代によく行っていた場所は、その実像よりも雄大で美しく記憶に残っているもの。

もちろん、実際に衰えている部分もあったのでしょうが、実像よりもさらに美しく「成長」していた心の中の故郷という存在に、大きく影響されていたのではないかと思うのです。

皆さんも、そういった経験があるのではないでしょうか。

今回取り上げた三作品のなかでは、一番好みの小説といえます。

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まとめ

今回は魯迅の短編集から三作品を抜粋して紹介しましたが、気になる作品は見つけられましたか?

全体として、魯迅の小説は強烈な政治的思想を感じるものがほとんどでした。

まあ、そもそも作家を志したキッカケが啓蒙思想からきているのものであり、それも当然ではあります。

そのため、例えば中国の近現代を良く知りたい、あるいは近代の中国思想について迫りたいという場合には、魯迅を外してそれらを語ることはできないでしょう。

ただ、読み手にそもそもの儒教知識と、当時の中国社会の背景への理解を要求してくる作品ばかりなのも事実なので、現代では読み手を選ぶ作家であることは間違いありません。

文体そのものは日本への留学経験があるためか、明治・大正期の日本作家と似たような印象を感じたため、読んでいて読みづらさを感じることありませんでした。

完成度も高く、中国の荒廃した様子を描くには最適と思われる素朴な文体で書かれています。

しかし、素朴であるがゆえに、文章に「惚れる」という性質の文体ではないので、悪く言えばつまらない文体かも。

ここは、正直好みの問題だと思います。

人を選ぶ小説が多いのは事実ですが、傑作の大半は短編なので、最悪相性が悪くてもさっと読むことができるのも特徴。

そのため、気になった方はまず読んでみてもいいのではないでしょうか。

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