松尾芭蕉『奥の細道』の感想や俳句、内容・ルートを簡単に解説!俳諧を芸術にした紀行作品

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奥の細道の感想・解説

ここからは、奥の細道を読んだうえでの感想と解説を加えていきます。

ただ、創作性が強いとはいえ物語文とは少し趣が異なるので、こちらも通常の読了感想とは多少違う形になっています。

侘び寂びを感じる落ち着いた世界観が素晴らしい

本作に描かれている景色が「美しい」というのは言うまでもないことですが、一方でその「美しさ」の性質こそが、非常に素晴らしいものだと感じました。

それを端的に表現すると「侘び寂び」という言葉が当てはまるのでしょうが、静寂や盛衰といった作品全体にどことなく漂う寂寥感は、まさしく本作特有の魅力でしょう。

とはいえ、もちろん芭蕉が影響を受けたであろう過去の作品を列挙することは難しくありません。

例えば、旅をしながら歌を詠んでいくというスタイル自体は、すでに『伊勢物語』などの作品で確立されているほか、「無常観」という点でいけば西行兼好の影響を強く感じます。

しかし、芭蕉の優れた点は、華やかな美しさだけを歌にして読むのではなく、一見すれば地味で気にも留めないような光景に美しさを見出しているところでしょう。

これは、『伊勢物語』や『源氏物語』といった王朝文学には出せない特色で、一般民衆としてただ黙々と旅を続ける芭蕉ならではの視点が反映されてます。

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日本一の「観光ガイド」という側面も

立石寺 景観
立石寺の景観

これは作品単体の感想ではありませんが、本作を読んだ後、あるいは本作を読む前に関連する名所を訪れることをおすすめします。

やはり本作は「紀行作品」であり、内容を深く味わうためには「実物」を知っておくことが欠かせません。

幸い芭蕉関係の名所は観光地として整備されていることが多く、一度にすべてを見て回らなければ訪問はそれほど難しくないでしょう。

また、当然芭蕉が句にするだけのことはあって、現代人が鑑賞してもその景色を非常に美しいと感じられるはずです。

そのため、本作は言わば「日本一優れた観光ガイド」という見方もできるのではないでしょうか。

私も先日松島や立石寺を訪れましたが、その落ち着いた雰囲気に思わず感動しました。

皆さんも、芭蕉のように旅をしてみてはいかがでしょう。

ただし、一つ注意点として、基本的に紹介されている名所は「自然の景観」や「落ち着いた雰囲気の場所」が多く、ど派手な観光地を期待していると面食らってしまう可能性があります。

本作を読んだだけでもその様子は読み取れると思いますので、「この雰囲気はちょっと地味かな…」と感じてしまった方にとっては、あまり楽しめないかもしれません。

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まとめ

ここまでの内容で、『奥の細道』という作品への理解を深めていただけたのではないかと思います。

先にも述べていますが、本作は「旅行」との相性が抜群であり、旅することでより作品を深く鑑賞することができるでしょう。

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