村上春樹『ノルウェイの森』の感想、解説と考察!直子とキズキと「私」の物語

ノルウェイの森 表紙日本文学
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さて、本日は以前に私が運営している雑記ブログで「現役大学生が選ぶ!学生・20代のうちに読むべきおすすめの小説5選」という記事でも取り上げ、単体記事を書くことを予告していた小説について記事を書いていきます!

その小説は、村上春樹の大ベストセラー『ノルウェイの森』です。

結論からいうと、私は『ノルウェイの森』が日本人作家の本では恐らく一番好きなのではないかと思います。

しかし、一方でいわゆる「ハルキスト」でもないので、好きな小説だからこそガンガン批判していきます。その点はご了承ください。

またネタバレもありますので、そのつもりで。

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『ノルウェイの森』の簡単なあらすじ

限りない喪失と再生を描く究極の恋愛小説!

暗く重たい雨雲をくぐり抜け、飛行機がハンブルク空港に着陸すると、天井のスピーカーから小さな音でビートルズの『ノルウェイの森』が流れ出した。

僕は1969年、もうすぐ20歳になろうとする秋のできごとを思い出し、激しく混乱し、動揺していた。限りない喪失と再生を描き新境地を拓いた長編小説。

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『ノルウェイの森』の問題点

ノルウェー 森

さて、ここからはいよいよ本の内容に触れていきます。

この小説は400万部以上を売り上げた大ベストセラーになったわけですが、正直私は万人ウケする本ではないと考えています。

この本が売れた理由は、恐らく内容そのものではなく、本が発売された時代背景が大きく作用していると感じています。

実際、著者の村上春樹もこの小説が売れたことで「ひどく孤独になった」と語っています。

内容はある意味とても人を選ぶもので、恐らく400万人のうち250万人は「そんなに面白くないなぁ」と感じたのではないでしょうか。

正直普段本を読まない人が手にとっても面白くは感じないのではないかと思います。

私が以前の記事で、

おそらくハマり方は二通りあり、「何だか世間から浮いているような気がする若者」が内容に共感する、または村上春樹の文章や世界観が好みにストライク、というものです。

逆にいうならば、上記にあてはまらない読者が読むと、恐ろしくつまらないと思います。

世間と今一つ馴染めず、日々を無為に過ごしがちな大学生を主人公とし、ヒロインの心は高校時代のある地点に立ち止まったまま、体だけが生きています。

こういった内容のため、大ベストセラーではありますが、特に若いうちに読むべき本だと思います。

と書いているように、ターゲット層はかなり狭いと思ってもらってもよいでしょう。

そのため、「ノルウェイの森を読んでみたけどつまらなかった」というような書評がネット上では多くみられます。

そこで、まずこの小説がもっている「小説的欠陥」という部分を明らかにしていきたいと思います。

面白さはその後に解説していきますので、ファンの方もご安心を!

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主体性が感じられず、ストーリーに説得力がない

まず、この小説のストーリーには説得力に欠ける部分があります。

主人公の「私」は、失われた親友の彼女・直子と親しくするようになるのですが、彼女はやがて精神を病んでしまいます。

そして治療施設へ行った直子を尻目に、他の女と逢瀬を重ねます。

これも、主人公は流されるがままに行なっているだけで、主体性はありません。

最終的に直子は死に、そのまま同時期に交流を重ねていた大学の同級生・緑を選ぶことになります。

さらに、直子と同じ療養施設で過ごしていたレイコとも身体を重ねます。

このように、「私」の行動は事実だけを書きだすと「色に耽っている」だけなのです。

言うなれば「モテる」男でもありますが、モテる理由も詳しくは描かれず、その点もストーリーから説得力を失わせています。

そのため、事実だけを見ていくと「なんとなくモテて、なんとなく事態が展開されていく」だけになってしまうのです。

展開に波がなく、一本調子

また、ストーリーに大きな出来事はありますが、それがあまり強調されて描かれることはありません。

「私」の一人称視点で進んでいく物語は、一見するとすごく平坦に展開されていきます。

直子との再会をはじめとする出来事は、村上春樹的な表現でサラリと流されてしまうのです。

感動の対面も、号泣の別れもありません。

そこにあるのは、ただ雪が降り積もるように重なっていく事実だけなのです。

そのため、これもやはり事実だけをみてしまうと、すごく一本調子で平坦なストーリーに感じられるでしょう。

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