現代社会で読むオーウェルの小説『1984年』のあらすじと解説・考察(ネタバレ有)

1984年 表紙イギリス文学
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さて、本日はイギリスの作家ジョージ・オーウェルが1949年に発表した小説『1984年』の「現代流の読み方」について解説をしていきたいと思います。

この小説はまだ共産主義思想が公に受け入れられていた時代に執筆された作品ながら、その後の世界で露呈した共産主義が内包する課題を言い当てたとして極めて高い評価を受けています。

ただ、ご存知のように共産主義勢力はオーウェルが今作を出版した時代と比べると大幅に力を弱めているため、今作のもつ社会的意義は薄れてきている、という見方もなされがちです。

では、果たしてそれが真実なのかどうかを作品を振り返りつつ考えてきましょう。

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『1984年』のあらすじ

〈ビッグ・ブラザー〉率いる党が支配する全体主義的近未来。

ウィンストン・スミスは真理省記録局に勤務する党員で、歴史の改竄が仕事だった。

しかし彼は、以前より完璧な屈従を強いる体制に不満を抱いていた。

ある時、奔放な美女ジュリアと出会ったことを契機に、伝説的な裏切り者が組織したと噂される反政府地下活動に惹かれるようになるが……。

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今作は「本は読んだことがないが、教養としてあらずしは知っている」という方もいるかもしれないほど有名な作品です。

主人公のスミスはとある全体主義国家で党員として歴史の改ざんに従事します。

その国家は「ビッグ・ブラザー」という人物を象徴としており、同時に徹底的な監視国家として描かれています。

つまり、現代では小説の一ジャンルとして確立している「ディストピアもの」の原典ともいえるでしょう。

その国家の中で体制に抗った主人公は、しだいに追い詰められていくことになります。

反共小説としての『1984年』

オーウェル 写真出典:Wikipedia

さて、すでに今作をお読みになっただけでなく、あらすじをご覧になった方も今作の描きたかったものは想像がつくのではないかと思います。

そう、今作は全体主義国家に支配されることに警鐘を鳴らすという目的が込められています。

オーウェルが今作を描いた1940年代末はまだ全体主義国家がいくつも存在し、国際社会でも発言力を有していました。

その後、ソ連を中心とした共産主義国家が西側諸国と世界を二分する時代が到来します。

こうした社会状況が展開される中で、『1984年』は共産主義国家の問題点を指摘した「反共のシンボル」としてみなされるようになりました。

そして、オーウェルの「予言」は見事に的中します。ソ連を中心とする共産主義国家では粛清や記録の改ざん、国民の相互監視が実際にみられるようになっていきました。

こうして「理想的な経済制度」としてもてはやされた共産主義は崩壊し、2000年代に入るとその勢いを完全に失います。

このように、オーウェルの描き出した小説は見事に共産主義の弱点を指摘し、西側諸国に「思想的勝利」をもたらしたのです。

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