『ロミオとジュリエット』のあらすじや感想、元ネタ解説!あまりにも悲劇的な恋愛物語

ロミオとジュリエット 表紙イギリス中世文学
出典:Amazon
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イギリス史上最高の作家にして、今なお世界中で愛され続けている人物——。

それがウィリアム・シェイクスピアでしょう。

彼の残した作品は様々ですが、一般には四大悲劇に代表される「悲劇」を描いた作家として認識されることが多いかもしれません。

そこで、まずこのサイトでは彼が「悲劇」を克明に描き出した恋愛作品『ロミオとジュリエット』を取り上げ、作品に関する様々な解説を行っていきます。

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ロミオとジュリエットの作品紹介

まず、本作に関する基本的な作品情報を整理しておきます。

作者   ウィリアム・シェイクスピア
執筆年  1594年ごろ
執筆国  イギリス
言語   英語
ジャンル 恋愛小説・戯曲
難易度  やや読みにくい
この作品は、本筋のストーリーそのものは古典らしくなく、これ以上ないほど分かりやすいです。
むしろ、見方によっては「ベタベタ過ぎる」と感じる方が大半でしょう。
それもそのはず。本作からは、ある意味で世の中に存在する全ての「現代ラブコメ」が少なからぬ影響を受けているからです。

ロミオとジュリエットの簡単なあらすじ

14世紀のイタリア・ヴェローナ。

この地では、神聖ローマ皇帝とローマ教皇の争いに端を発する抗争が繰り広げられていた。

モンダキュー家に生まれた主人公のロミオは、報われぬ片思いに想いを焦がす青年であり、恵まれた立場にいながら憂鬱な日々を過ごす。

しかし、ある日彼とその友人は敵対関係にあるキャピュレット家で開催されるパーティーへと潜入。

その地でロミオを待ち受けていたのは、キャピュレット家の令嬢・ジュリエットとの出会いであった。

瞬く間に恋に落ちた二人は、その想いを成就させるべく行動に打って出る。

しかし、彼らの行く手を阻むのは「実家の対立」という悲劇であった…。

こんな人に読んでほしい

・悲劇的な恋愛が好き

・演劇が好き

・シェイクスピアを読んだことがない

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ロミオとジュリエットの作者や時代背景・元ネタ解説

ロミオとジュリエット 絵画絵画『ロミオとジュリエット』(出典:Wikipedia)

ここからは、この作品に関する時代背景や読み方の解説を行っていきます。

先ほど述べたようにストーリーそのものはこれ以上ないほど明快な一方で、小説として読み進めていくうえでは少し難解な部分も存在するのです。

なお、すでに「悲劇」と言っている時点で結末は想像がつくかもしれませんが、一応ネタバレには注意してください。

執筆は中世イギリス・舞台は中世イタリアという点を押さえるべき

サイトでたびたび触れていることですが、古典を読む上では「時代背景」をしっかりと踏まえておく必要があります。

本作もまさにその例に漏れず、執筆されたのが16世紀後半のイギリスであるという事実は知っておかなければならないでしょう。

そもそも、この作品は対立する二つの家に生まれてしまった恋人たちの生きざまを描いた作品で、当然ながら自由恋愛への敷居が今よりも断然高い時代になります。

したがって、まずはこの事実を押さえなければなりません。

しかし、本作でやっかいなのはシェイクスピアという人物がこの作品で舞台としたのは、14世紀のイタリアであるという点です。

そのため、この作品は古代と中世の分かれ目ともいえるルネサンス期のイタリアを舞台にしており、この作品を理解するためにはこの時期の大まかな歴史や文化くらいは知っておく必要があります。

まとめると、「16世紀生まれのイギリス人が、14世紀のイタリアにおける恋愛模様を描いている」ということになり、できることならどちらの時代についても予備知識があるとよいです。

特に、「どうしてサッサと駆け落ちしないんだ!」と言いたくなる展開にやきもきした方もいるかもしれませんが、それは当時の時代を考えれば相当な覚悟を必要とするものに他なりませんからね。

ただし、先ほどから言っているようにストーリーそのものは現代の価値観でも分かりやすく、仮に時代背景を一切理解できなくてもある程度楽しむことができるようにはなっています。

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元は戯曲として作成されているため、読みづらい点も

シェイクスピア 肖像画シェイクスピア(出典:Wikipedia)

シェイクスピアについてご存知の方にこの説明をするのは心苦しいのですが、この作品は小説ではなく戯曲として制作されたものになります。

戯曲とは、分かりやすく言うと「演劇の台本」ということになり、我々はそれを小説として読むこともできる、という話です。

したがって、良くも悪くも「演劇として演じるための作品」であり、現代小説と同じ感覚で読んでしまうと痛い目をみるでしょう。

読む前に押さえておきたい点としては、まず舞台で演じるためにとにかくテンポが速いということです。

描かれている時間はわずか5日間の出来事であり、物語が軽妙な洒落や猥談を伴いつつかなりのスピードで進行していきます。

そのため、正直に言ってしまうと「ロミオとジュリエットに感情移入する前に物語が終わってしまう」ことも事実で、ここはそういうものとして認識しておくしかありません…。

また、これはネタバレ以外の何物でもないのですが、終盤では人が怒涛の勢いで死んでいきます。

これもやはり戯曲であることが大いに影響しており、読むならば納得したうえで読み進めるほかないでしょう。

さらに、戯曲であるというだけでなく中世の英語を用いて書かれた物語ということが影響し、訳本であっても読みやすいとはいえません。

堅い表現や難読漢字も少なくなく、読解には気合が必要かも。

元ネタは「ロミウスとジュリエットの悲しい物語」という作品

この作品はシェイクスピアの代表作として知られていますが、実は彼の完全オリジナル作品ではありません。

そもそもシェイクスピアの作品にはほとんど元ネタが存在するので、そう考えると本作はむしろ彼にとっての常套手段で作成されたといえるでしょう。

元ネタとされる作品は、アーサー・ブルックという人物が1562年に出版した『ロミウスとジュリエットの悲しい物語』というものです。

ロミウスとジュリエットの悲しい物語 表紙ロミウスとジュリエットの悲しい物語(出典:Wikipedia)

はい、言うまでもなくそのまんまですね。

ただし、さらに興味深いのはこの『ロミウスとジュリエットの悲しい物語』という作品もブルックがオリジナルに考え付いたものではない、ということです。

ギリシア神話古代の伝承からの影響がみられることから、そのルーツはもはや特定することが困難なほど古いとされています。

こうした雑多な物語をまとめ、現代で知られる『ロミオとジュリエット』の大まかな形が完成したのが15世紀後半のナポリ。

この時代に出版された物語のなかに、本作と類似するストーリーが散見されるようです。

さらに、16世紀に入るとこの物語で引き裂かれる二人の若者に「ロメオ」「ジウリエッタ」という名が与えられ、またこの物語をベースにマッテオ・バンデルロというイタリア人が詩を作成しました。

この詩がピエール・ボエステュオーという人物によってフランス語訳され、この物語をもとに『ロミウスとジュリエットの悲しい物語』が作成されたらしいです。

もちろんこの変遷にはいくらか不確かな部分もあるのでしょうが、仮に真実であるとすれば時代や国を問わず愛されてきたストーリーであることは間違いありません。

これを当時流行りの戯曲に載せれば人気が出るのも自明であり、現代で語り継がれるのも納得がいきますね。

ちなみに、シェイクスピアが担当したオリジナルの部分は大半が「戯曲としての調整」と思われ、物語を尊重しつつ舞台映えする工夫を施していたようです。

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映画・クラシック・バレエ・ミュージカルなどの演目としても親しまれる

シェイクスピアの発表以後、この物語は世界中で大流行していきました。

彼が他にも数多くの傑作を世に送り出したということ、当時世界は大英帝国が支配していたことも影響してか「シェイクスピアの物語」と認知されるようにもなります。

その後はここで取り上げたような演劇・小説として親しまれるだけでなく、

・映画やドラマなどの映像作品

・クラシックやオペラなどの音楽作品

・バレエなどのダンス演目

・ミュージカルの題材

など、文字通りありとあらゆる創作作品・翻案が世界中で人気を博しました。

現代で特に知名度が高い作品としては、ロミオとジュリエットを当時のアメリカらしくアレンジしたミュージカルで、映画作品としても知られる『ウエスト・サイド物語』や、ソ連で誕生したプロコフィエフが作曲したバレエ音楽「ロミオとジュリエット」あたりでしょうか。

プロコフィエフ:ロメオとジュリエット(全曲)

もちろん、日本のソシャゲやアニメレベルでも本作の影響を受けている作品は非常に多いので、気になる方は探してみると案外簡単に見つかるかもしれません。

シェイクスピアが携わるはるか昔から連綿と語り継がれてきた『ロミオとジュリエット』という作品。

それは彼が亡くなってから数百年が経過してなお受け継がれる作品で、「愛する男女が引き裂かれ悲劇を迎える」という根本のストーリーには恐らく数千年変わらない普遍性が存在すると考えると、そこに私は「文学のロマン」を感じますね。

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