『竜馬がゆく』のあらすじや感想、登場人物を解説!司馬遼太郎が描く至極の歴史小説

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龍馬がゆくの感想・解説(ネタバレ有)

ここからは、本作に関する解釈や考察を含めた感想を述べていきたいと思います。

なお、記事の構成上多くのネタバレを含みますので、その点はご了承ください。

一代記としてのクオリティが極めて高い

まず、この作品を語るうえで特筆すべき点は、冒険小説として心躍るその描写が挙げられます。

龍馬が成長する中で様々な危機を乗り越え、そして偉大な功績を残していく。

彼を中心にした人物の描き方や、「龍馬によって歴史が変わりつつある」という実感を抱けるようなダイナミックさを感じる展開の構成力は見事でしょう。

坂本龍馬 写真坂本龍馬(出典:Wikipedia)

しかし、竜馬は決して完璧な人物としては描かれず、我々としても親しみやすさを感じられるのが好印象に繋がっているのでしょう。

昨今の小説では「完全無欠の主人公が無双していく」という展開を採用することも少なくありませんが、やはりユーモラスで親しみやすくも、いざというときには大仕事をやってのける竜馬の魅力には叶いません。

飄々としていながらもその魅力を全面に振りまく竜馬に人々が惚れていくのも納得ですし、「彼ならば世の中を変えられる」と我々に感じさせてくれます。

正直、史実の龍馬がこれほど魅力的な人物であったとは思えません。

それでも、私が坂本龍馬という人物を愛さずにはいられない理由は、やはりこの作品にあるのだと痛感します。

歴史学を学ぶようになってからはどうしても「史実か否か」ということばかり考えるようになってしまいましたが、この本を見ると高校時代に夢中になって本書を読みふけっていたことを思い出しますね。

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乙女・お田鶴・さな子・おりょうといった女性たちの物語でもある

本作は、先に述べたような「坂本龍馬の魅力」にやはり注目してしまいがちな作品です。

しかし、個人的には竜馬の周囲を彩った様々な女性たちの姿が非常に印象的でした。

大柄で男勝りな姉の乙女・お上品で高嶺の花にも思えるお田鶴・剣術に長けた許嫁のさな子・美しくも性格に難のあった妻のおりょう…。

竜馬と交流をもった女性の誰もが生き生きと描写されており、彼女たちの物語にも心を動かされるものがありました。

また、幕末を描いた作品にもかかわらず、いわゆる「良妻賢母」的な女性は描かれることなく、誰もがまるで現代の恋愛小説に登場するかのような個性を備えていたのも好印象です。

ちなみに、私の性癖的にどストライクだったのがさな子で、「年上・美人・男勝り・最後は結ばれない」と、好きなヒロイン像を体現したかのような存在でした。

千葉さな子 墓地さな子の墓地(出典:Wikipedia)

竜馬と帰国後は疎遠になったにも関わらず、生涯彼との約束を大切にしていたというのもポイント高めです。

もちろん、史実における千葉佐那(現実ではこう呼ばれていた)とは異なる点も多々ありますが、活発で生き生きとした彼女の姿は一見の価値アリ。

私が竜馬であったなら、江戸にとどまってさな子と道場を営んで生きる道を選びたいかもしれません…(笑)

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まとめ

ここまで、『竜馬がゆく』という作品の内容を解説してきました。

あくまで娯楽小説ではあるものの、その影響力が単なる一小説の域を大きく超えていたということについては、知っておいて損はないかと思われます。

また、良くも悪くも小難しさ深さは控えめの作品なので、本サイトで紹介している小説の中でもかなり気軽に読み始められる部類なのではないかと。

歴史小説デビューにはもってこいの作品です!

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